本曲が30年経っても色褪せない最大の要因は、計算し尽くされた音楽理論的アプローチにあります。音楽プロデューサーや作編曲家の分析によると、『DAN DAN 心魅かれてく』のサビ部分は、J-POPの黄金律である「カノン進行」を巧みに変形させたIV→V→IIIm→VIm(通称:王道進行)をベースに構築されています。
AメロからBメロにかけて丁寧に緊張感を高め、サビに入った瞬間に一気に視界が開けるような開放感をもたらす転調とメロディライン。特にサビ冒頭の「DAN DAN」で最高音付近へ一気に駆け上がる跳躍は、聴き手の脳内に強烈なドーパミンを分泌させます。無駄な音を極限まで削ぎ落とし、全世代が直感的に「心地よい」と感じる旋律を配置する織田哲郎の構成力は圧巻です。
一方で、一般のリスナーにとって本曲は「カラオケ難易度が極めて高い罠曲」としても知られています。カラオケの精密採点データやボーカルトレーナーの分析によると、原曲キー(Key: E♭)のサビにおける最高音は「hiA(ラ)」から「hiB♭(シ♭)」に達し、男性ボーカルとしては非常に高い音域が終始続きます。
ネット上の掲示板やSNSでは、「サビで喉がちぎれそうになる」「浅岡雄也が涼しい顔で歌っているから簡単に見えるが、実際にマイクを握ると絶望する」といった書き込みが後を絶ちません。力強いのに圧迫感がなく、青空を突き抜けるような浅岡雄也の天性の声質があってこそ成立する神業であることが、歌ってみた人々によって再認識されています。