Q1:胃は左腹にあるのに、なぜストレスや胃炎で「みぞおち」が痛むのですか?
A1:胃の知覚神経(自律神経)は、第6〜第9胸髄という脊髄レベルを経由して脳へ痛みを送ります。この神経領域が皮膚感覚において「みぞおち(心窩部)」と一致しているため、胃体部が左側に偏っていても、脳はみぞおち付近の痛みとして知覚します。胃の病初期にはまずみぞおち全体が重く痛み、炎症が胃壁の筋層や腹膜まで波及して体性神経を刺激する段階になって初めて、左上腹部へ局在化した鋭い痛みに変化します。
Q2:盲腸(虫垂)の位置は、生まれつき左側にあることもあり得ますか?
A2:極めて稀ですが存在します。「内臓逆位(全内臓逆位症)」と呼ばれる先天的な解剖学的変異を持つ人は、約1万人に1人の割合で存在し、心臓や肝臓、盲腸を含む全臓器が左右鏡像に配置されています。また、胎児期の腸管回転異常によって盲腸が左側に固定されるケースもあります。左下腹部の痛みであっても、既往歴や画像検査によっては虫垂炎と診断される事例が報告されています。
Q3:背中の痛みが内臓から来ているのか、単なる筋肉痛や寝違えかを見分ける方法は?
A3:最大の鑑別ポイントは「体動による痛みの変化」と「叩打痛(こうだつう)」です。筋肉痛や関節由来の痛みは、背中を特定の方向へ曲げたり捻ったりした際に痛みが強く現れ、安静にしていれば落ち着きます。一方で腎臓や膵臓などの内臓病変から生じる痛みは、じっと横になっていても深部から脈打つような激痛が続き、姿勢を変えても容易に消えません。さらに、背中の肋骨下端を拳でトントンと軽く叩いた際、体内に響くような突き刺す激痛が走る場合は、腎盂腎炎や尿路結石など内臓疾患の可能性が極めて濃厚です。