ネット上の情報で最も多くの誤解を生んでいるのが「ブリーチなしでアッシュブラウンに染めれば、誰でも即座に透き通るグレーブラウンになれる」という言説です。表参道や銀座のメンズ特化型サロンで日夜ハサミを握るスタイリストたちに取材を行うと、一様に「地毛の明るさや太さによって、1回のカラーで出せるアッシュの透明感には物理的な限界がある」と口を揃えます。
地毛が硬く太い剛毛タイプの場合、1回のブリーチなしカラーでは赤みを削りきれず、初めは「やや暗めのナチュラルブラウン」に近い仕上がりにとどまる傾向があります。一方で、細毛・軟毛タイプや、すでに過去のカラー履歴でベースが明るくなっている髪であれば、1回の施術でも十分に濁りのないシアーなアッシュブラウンが発色します。つまり、メンズの透明感カラーにおけるトーン選びは、現在の自分のベース明度を正確に把握することから始まります。
以下は、編集部がプロの美容師監修のもと作成した、アッシュブラウンの明るさ(トーン)別の実力値と職場適性の比較表です。
ブリーチを使わずに理想のくすみを手に入れる現実的な裏技として、現場のプロが提案しているのが「ダブルプロセス(2回染め)」です。1回目で髪をダメージの少ないライトナーなどで10トーン付近まで引き上げ、2回目で濃いアッシュグレーと深みのあるブラウンを被せる手法です。強烈な脱色を行わないため髪のパサつきを最小限に抑えつつ、一発染めでは決して出せない奥行きのあるスモーキーな発色を可能にします。