気象データ上で「気温20度」と聞くと、春先の穏やかな陽気を思い浮かべる方が大半でしょう。しかし、実際に現地を訪れた旅行者の手記やSNS上のリアルな告白には、「思っていたより遥かに寒い」「風が強すぎて海辺にいられない」といった声が溢れています。この違和感の根底にあるのが、12月の沖縄体感温度と北風の相関関係です。
沖縄では秋の終わりから初冬にかけて、地元で「ミーニシ(新北風)」と呼ばれる季節風が大陸から強く吹き込みます。四方を外海に囲まれた島嶼部である沖縄には、本州の内陸部のように風を減衰させる広大な山脈がありません。東シナ海を越えて吹き付ける寒風は、平均風速にして秒速4〜6m、荒天時には10m近くに達することも日常茶飯事です。一般に気象工学や生人気候学の計算式(ミス・ナーゲルやリンケの体感温度式など)では、「風速が1m/s増すごとに、人間の体感温度は約1℃下がる」とされています。
つまり、現地の気温が仮に19℃あったとしても、秒速6mの北風に晒されれば、皮膚が受ける実質的な寒さは13℃以下にまで落ち込みます。さらに沖縄の冬は、夏のような透き通る青空が広がる日が少なく、鉛色の雲が広がる曇天や断続的な小雨(カタブイ)に見舞われやすいのが特徴です。日照が遮られ、湿度を含んだ強風に晒され続ける環境は、数値以上の底冷えを旅行者にもたらします。恩納村や読谷村などの西海岸リゾートホテル、あるいは万座毛や残波岬といった景勝地に立つと、吹き飛ばされそうな海風によってダウンジャケットすら恋しくなるのが冬の沖縄の偽らざる真実です。