馬刺しの旨さを左右する最大の分岐点は、包丁を握る前の「解凍」にある。多くの人がやってしまいがちなのが、冷蔵庫での自然解凍や室温放置だ。これらは肉の細胞を破壊し、赤いドリップとともに旨味をすべて逃がしてしまう最悪の選択肢と言わざるを得ない。
プロが推奨するのは「氷水解凍」だ。パックのまま氷水に浸し、芯が少し残る程度の「半解凍」状態を目指す。完全に溶けきってしまうと、繊維が柔らかくなりすぎて綺麗にスライスできない。指で押して少し弾力を感じるくらいで引き上げるのが、美しく、そして美味しく仕上げるための絶対条件だ。