ネット上の掲示板や美容系SNSでは、「鼻プチを毎日使い続けたら鼻先の高さが定着した」「軟骨が矯正されて自前の鼻が高くなった」といった真偽不明の体験談が散見されます。しかし、鼻プチは定着するのか噂の真相を医学的なアプローチから紐解くと、軟骨や皮膚が器具の形状を記憶して高さを維持することは構造上あり得ません。
人間の鼻先は、左右一対の「大鼻翼軟骨」という極めて薄くしなやかな軟骨と、それを覆う皮膚・皮下組織で構成されています。歯科矯正のように骨を代謝させて動かす医療行為とは根本的に異なり、外側から樹脂を押し当てて局所的な圧迫を加えたとしても、軟骨組織そのものが伸長したり高さを保ったまま固まる生理作用は存在しないのです。
「使い続けると高くなったように見える」と感じる現象の正体は、実は組織の「慢性的なむくみ」や「瘢痕(はんこん)化による肥厚」に過ぎません。異物による摩擦や持続的な圧迫によって皮下組織に微小な炎症が繰り返され、一時的に皮膚が硬く腫れ上がっている状態を、本人が「高くなった」と錯覚しているケースが大半です。炎症が治まれば元の高さに戻るか、あるいは組織が硬化して不自然な凹凸が残る結果に終わります。