「高知空港や松山方面から何時間もかけて運転し、沈下橋を渡って写真を数枚撮ったら次の目的地へ向かってしまう。そんな観光スタイルを見るたびに、胸が痛みます」
四万十市観光協会や地元飲食店主たちが口を揃えて語るのが、この「通過型観光」によるミスマッチです。四万十川の象徴である沈下橋は、増水時に橋が流失しないよう欄干をあえて作らない設計となっており、生活道路としての機能美が評価されています。しかし、橋の上に立ち止まるだけでは、四万十川の最大の魅力である「水と人との共生文化」に触れることはできません。
最下流にありアクセスしやすい佐田沈下橋混雑状況を定点観測すると、ゴールデンウィークや夏休み期間中の11時30分から14時30分にかけて駐車場待ちの渋滞が発生し、橋の上は記念撮影をする旅行者で過密状態となります。欄干のない幅約4メートル前後のコンクリート橋ですれ違うストレスや、歩行者の間を縫って走る地元車両への配慮など、繁忙期特有の課題も生じています。
地元ガイドが強く推奨するのは、沈下橋を「眺める対象」から「川側から見上げる対象」へと視点を変えることです。屋形船やカヌーから見上げる沈下橋のアーチ、あるいは沈下橋のたもとで川音を聞きながら過ごす時間こそが、旅の満足度を決定づけます。