運動学習心理学の観点において、フォームやグリップの変更には強力な「認知的抵抗」が伴います。一度誤った握り方で大脳皮質に運動パターンがプログラミングされてしまうと、それを脱学習して再構築するには数千回の反復練習が必要とされます。だからこそ、用具選びの初期段階で自らの骨格や志向性に適したグリップを選択することが重要になります。
卓球ラケットの選び方でおすすめの判断基準を、戦型と手の骨格タイプから明確に分類します。
【シェークハンドをおすすめする人】
・これから本格的に卓球を始めるすべての初心者・ジュニア層
・バックハンドでの攻撃やチキータを積極的に取り入れたい人
・手の平が標準的、またはやや大きめで、グリップを包み込む安定感を求める人
※グリップ形状は、手の小さい人や握りを安定させたい人には「FL(フレア)」、手の大きい人や打球ごとに微妙な角度調整を行いたい人には「ST(ストレート)」が推奨されます。
【中国式ペンをおすすめする人】
・手首のスナップを活かした多彩でキレのあるサーブを武器にしたい人
・ネット際の短いボールに対するフリックや台上攻撃で主導権を握りたい人
・シェークハンドとは一線を画す独特のドライブ軌道で相手を翻弄したい中級者
【日本式ペンをおすすめする人・慎重になるべき人】
・フットワークに絶対の自信があり、オールフォアでコート全体を駆け回りたい攻撃型プレーヤー
・慎重になるべき人:バック側のレシーブや高速ラリーの切り替えに不安がある初級者(現代の競技環境ではバックハンドの死角が大きすぎるため、安易な選択は推奨されません)。
「自分にはどの握り方が合っているか」を判断する指標は、素振りをした際に「手首の腱に引っかかりがないか」「フォアとバックの切り替えで面がグラつかないか」の2点です。違和感を無視して無理な握りを続けると、腱鞘炎やテニス肘(上腕骨外側上顆炎)を発症するリスクが高まるため、自分の手の大きさに合わせてラケットを選び抜く姿勢が欠かせません。