この独特なルビ表現や語彙のルーツを語るうえで、絶対に外せない画期が存在する。2000年代初頭のインターネットコミュニティを沸かせた「邪気眼」というネットスラングの流行、そして漫画界の鬼才・冨樫義博が構築した孤高の言語世界だ。
集英社の「週刊少年ジャンプ」で連載された『幽☆遊☆白書』や『HUNTER×HUNTER』において、冨樫義博が提示した技名や能力の命名センスは後続のクリエイターに決定的な衝撃を与えた。「邪王炎殺黒龍波」をはじめとする、重厚な漢字とカタカナを交錯させたフレーズ群。バトル漫画の技名は単なる攻撃の合図から、キャラクターが背負う業や美学を象徴する文学的表記へと進化を果たした。
やがて、ダークファンタジーの持つ陰影や「解き放たれてはならない禁断の力」というモチーフは、ネット上のテキスト文化と融合。自らの内に眠る特別な力を妄想する「邪気眼」的スタイルの基盤となり、今日まで続く格好いい難解用語の系譜を形作ったのである。