拒絶反応とは何か?移植免疫の仕組みと初期症状・最新治療を徹底解説

拒絶反応とは何か?移植免疫の仕組みと初期症状・最新治療を徹底解説

拒絶反応とは何か?移植免疫の仕組みと初期症状・最新治療を徹底解説についての真相をご紹介します。

生体の免疫系は、何億年もの進化の過程で「自己」と「非自己」を瞬時に見分ける高度な識別能力を獲得してきました。この自己認識の看板となるのが、白血球をはじめとする全身の細胞表面に存在するHLA(ヒト白血球抗原:Human Leukocyte Antigen)です。他者から臓器の提供を受けた際、提供者のHLA型がレシピエント(受容者)自身のものと異なると、体内を巡回する樹状細胞やマクロファージなどの抗原提示細胞が「有害な侵入者」として検知します。これこそが、拒絶反応原因の根本に存在する分子生物学的な真実です。

一度非自己と判定されると、生体内では怒涛の迎撃網が敷かれます。拒絶反応仕組みの中心を担うのは、リンパ球の一種であるT細胞とB細胞です。ヘルパーT細胞が侵攻指令を出すと、キラーT細胞(細胞傷害性T細胞)が移植臓器の細胞へ直接取り付き、アポトーシス(細胞死)を誘導する「細胞性拒絶」が惹起されます。並行して、B細胞が異種抗原に対する特異的抗体(ドナー特異的抗体:DSA)を産生し、血管内皮を補体とともに攻撃・破壊する「液性(抗体関連型)拒絶」が進行します。病原体から身体を守るはずの鉄壁の盾が、移植医療の場においては命を救うための臓器を破壊する凶器へと反転してしまうのです。

井上 凛
著者

井上 凛

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。