日本人が渡米後に最も強いカルチャーショックを受けるのが、医療制度の複雑さと想定外の金銭的負担です。国民皆保険制度が存在しないアメリカでは、民間保険に加入していても「自己免責額(Deductible)」が年間数千ドル単位で設定されており、その枠を使い切るまでは全額自己負担となります。
救急車(Ambulance)を呼ぶだけで1,500ドル〜3,000ドルが請求され、虫垂炎の手術と1泊の入院で総額3万ドル〜5万ドル(約450万〜750万円)に上るケースも日常茶飯事です。保険会社のネットワーク外(Out-of-Network)の医師が処置に関わった場合、後日数十万円の追加請求書(Surprise Billing)が届くリスクも排除できません。
さらに日常をじわじわと圧迫するのがチップ文化の変容(Tipflation)です。以前は着席型のレストランで15%程度が基本だったチップですが、近年はタッチパネル決済端末の普及に伴い、テイクアウトやカフェのカウンターですら「18%、20%、22%」の選択肢が初期表示されるのが定着しました。サービス料(Service Fee)が自動加算された上にチップを要求される二重請求のような事例も多く、気軽な外食すら心理的な障壁となっています。