『さよならエレジー』の「元ネタ」としてネット上で名指しされる代表的な楽曲は、斉藤和義さんの『やさしくなりたい』に加え、ロックバンド・DOESが2007年に発表した名曲『修羅』(テレビ東京系アニメ『銀魂』エンディングテーマ)の2曲に集約されます。なぜリスナーはこの2曲を想起するのか、各楽曲のスペックと音楽的要素を構造的に比較してみましょう。
データを見れば一目瞭然ですが、この3曲はいずれもBPM 124〜128という人間の心拍数を心地よく高揚させる同一のスピード感に収まっています。さらに、『さよならエレジー』とDOESの『修羅』は主音となるキーが「Em(ホ短調)」で完全に一致しており、イントロを聴いただけでリスナーの脳内に『修羅』の殺伐とした情景がフラッシュバックする構造になっています。
一方、斉藤和義さんの『やさしくなりたい』とは、サビの冒頭メロディの音程の跳ね上がり方、そしてエイトビートに乗るドライブ感が酷似しています。しかし、メロディの細部や展開部(Bメロや大サビの展開)を採譜して照合すると、一致しているのは「最初の1〜2小節のリズム感」のみであり、著作権侵害にあたるような「旋律の完全一致」は一切存在しません。