発症当時の芳根京子さんを支えたのは、家族の献身的なサポートと、「絶対に元の生活に戻る」という強い意志でした。
麻痺のピーク時には自力での歩行が一切できず、車椅子や介助を必要とする日々が続きました。同世代の友人たちが部活動や勉強に励む中、一人病室や自宅で過ごす時間は、14歳の少女にとって計り知れない孤独と不安を伴うものでした。周囲から取り残されていく焦燥感に押しつぶされそうになりながらも、彼女は毎日地道な筋力回復トレーニングを続けました。
指先をわずかに動かす訓練から始まり、立ち上がる練習、そして一歩を踏み出す歩行訓練へ。神経の再生には時間がかかりますが、免疫グロブリン療法などの適切な処置と本人の努力が実を結び、徐々に手足の感覚と筋力が戻り始めました。
発症から約1年が経過した中学3年生の時、彼女は見事に学校生活への完全復帰を果たします。当たり前に歩けること、友達と笑い合えること、自分の足で目的地へ向かえること――失って初めて気づいた日常のありがたみが、その後の彼女の人間性を決定づける大きな土台となりました。