インターネット上の掲示板やSNSでは、「弘道会は今も莫大な裏資金を自由に動かしている」「名古屋の繁華街は完全に牛耳られている」といった極端な言説が散見されます。しかし、現場の実態を詳細に取材すると、ネット上のイメージと現実の間には決定的な乖離が存在します。
最大の誤解は、暴力団としての直接的な資金獲得力がかつてのまま維持されているという幻想です。現実は、全国の自治体で施行された暴力団排除条例の厳罰化、銀行口座の開設不可、クレジットカードの作成禁止、不動産賃貸契約の排除などにより、組員個人が表社会で経済活動を行うことは極めて困難になっています。
その結果生じているのが、組織の「地下化・匿名化」です。組織に正式に名前を連ねない「半グレ」や、SNSを通じて離合集散する匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)を間接的に利用し、特殊詐欺や不正アクセス、闇バイトを通じた強盗・窃盗などの違法収益を吸い上げる構造へと変貌しています。巨大な看板を掲げて威嚇する時代は終わり、見えない影として社会の暗部に浸透する手口が現在の主流となっているのが実態です。