法的な理論武装が整っていたとしても、現場の感情論や職場の空気感は別問題です。SNSや大手知恵袋などのコミュニティを検証すると、家族のインフルエンザ出勤に対するネットの反応は鋭く対立しています。
「同居家族がインフルエンザなのに平然と出社してきた同僚がいて、案の定3日後に本人が発症。周囲数人に感染が拡大して部署全体が麻痺した」「家庭内感染のリスクが高い時期にマスクもせずに打ち合わせに来るのは配慮が足りない」といった、感染拡大を懸念する痛烈な批判が数多く投稿されています。特に医療機関、福祉施設、飲食業、あるいは受験生を抱える社員がいる部署では、濃厚接触状態にある同僚の出勤に対して過敏になる傾向が顕著です。
一方で、出勤せざるを得ない当事者の悲痛な叫びも目立ちます。「上司に家族の感染を伝えたら『君が熱を出していないなら当然出勤だよね』と圧力をかけられた」「休みたいが人手不足で休める現場ではない」「有給休暇を使い切っており、会社都合の特別休暇がないため欠勤(無給)を恐れて出勤するしかない」という、組織の構造的問題に起因する葛藤が浮き彫りになっています。
医学的知見として、インフルエンザの潜伏期間は通常1〜4日(平均約2日)とされています。感染者の気道からウイルスが排出され始めるのは発症の24時間前(前駆期)からであり、自覚症状がまったくない無症状の段階であっても、すでに他者へ感染させる能力を有している場合があります。国立感染症研究所などの疫学調査でも家庭内二次感染率は約20〜40%と高く、無症状だからといって「100%安全」とは到底言い切れないのが医学的な事実です。