情報空間に飛び交う女性芸人論には、現場の実態とかけ離れた言説が今なお根強く残っています。特にネット上の掲示板や知恵袋などで散見される誤解を、確かな取材的事実に基づいて是正しておかなければなりません。
よくある誤認の筆頭が、「THE Wのタイトルを獲ってもテレビで売れなければ意味がない」という言説です。しかし、近年のエンタメビジネスにおいて、テレビ出演だけが芸人の成否を分ける指標ではありません。単独ライブの配信チケット売上、ファンクラブ運営、冠ポッドキャストやラジオ番組のスポンサー獲得など、収益チャネルは完全に多角化しています。実際、阿佐ヶ谷姉妹は全国的な知名度を得た後もマイペースな活動を維持しながら書籍やエッセイで圧倒的な印税と信頼を獲得していますし、インディーズの実力派たちはYouTubeや有料配信で地上波テレビに頼らない強固な経済基盤を確立しています。
また、「吉本興業以外の事務所では女性コンビが育ちにくい」という思い込みも実態と乖離しています。確かに吉本興業は劇場の数が圧倒的であり、日々の舞台数で腕を磨ける環境が整っています。しかし、浅井企画、人力舎、マセキ芸能社、サンミュージックといった他事務所からも、独特の作家性を持った女性ペアが着実に台頭しています。大手事務所のシステムに依存せず、地下ライブシーンで独自のファンベースを築き上げたフリー芸人たちが、賞レースの予選で強烈なインパクトを残す事例は年々増加傾向にあります。