日本中で知らない人はいないほど浸透した「僕は死にましぇん」というフレーズですが、脚本を担当した野島伸司が執筆したオリジナル台本および実際のオンエア音声を精査すると、「僕は死にません!」と発音されています。
作中で星野達郎が叫んだ正式なセリフの流れは以下の通りです。
「僕は死にません!僕は死にません!あなたが好きだから、僕は死にません!あなたを、幸せにしますから!」
過去に婚約者を不慮の交通事故で失い、「もう誰も愛せない、また死なれて一人になるのが怖い」と激しく心を閉ざしていた薫(浅野温子)。その絶望とトラウマを打ち砕くため、達郎(武田鉄矢)は迫り来る大型トラックの前に自らの体を投げ出しました。激しいスキール音とともに間一髪で停車したトラックを背に、涙と鼻水を流しながら魂の叫びをぶつけたのがこの名シーンです。
では、なぜ「死にません」が「死にましぇん」として定着したのでしょうか。その背景には、極限状態の感情表現による武田鉄矢の独特の九州訛り・絞り出すような発声に加え、当時のお笑い番組やコロッケをはじめとするものまねタレントによるコミカルなデフォルメ再現が全国的に爆発的流行を巻き起こしたというメディア構造があります。