乳児期の発達において、生後6カ月から9カ月頃にかけて見られる「まままま」「ばばばば」といった同一音節の繰り返しは、専門用語で反復喃語(canonical babbling)と呼ばれます。これは喉の奥から発声していた初期の段階から、口唇や舌の筋肉を意図的に動かせるようになった証拠であり、運動機能の大きな進歩を示しています。
多くの保護者が「ママと認識して呼んでいるのか」と期待を寄せますが、言語発達心理学の調査データによると、この段階では母親を指し示しているわけではなく、「自分の口から音が出る感覚を楽しむ探索行動」であることが確認されています。母乳やミルクを飲むための吸啜(きゅうてつ)反射から、離乳食を取り込むための随意的な口唇運動へと移行する過程で、唇を合わせて破裂・開放させる運動が自然と「マ音」として出力される仕組みです。
母親がいない方向を向いて一人で遊んでいる時や、天井を見つめながら「まままま」と呟いている場合、それは発声器官のセルフ・トレーニングを行っている状態といえます。