本作の核心に迫る上で避けて通れないのが、複雑に絡み合った家系図の因縁と結末の真相です。現代を生きる水泳部主将のディーンと料理サークルのパームは、大学の入学式で初めて視線を交わした瞬間、互いに激しい動悸と涙を覚えます。二人は理由のわからない喪失感と銃声のトラウマを抱えて生きてきましたが、惹かれ合う中でそれが前世の記憶であると確信していきます。
物語のクライマックスにおいて明かされる最大の謎は、「なぜ二人の魂が再び結びついたのか」という点にあります。コーンとインが命を絶った直後、インの父親は息子の遺体に向かって後悔の涙を流し、伝統的な儀式として二人の小指に赤い絹糸を結びつけました。「来世では必ず結ばれ、幸せになってほしい」という親の切なる祈りと後悔こそが、二人の魂を現代へと導いた赤い糸の正体でした。
さらに読者を戦慄させ、同時に深い感動を与えるのが家族関係の全貌です。ディーンの母方の祖母は他ならぬインの実の姉(アン)であり、パームの実父はコーンの実弟(シンド)であったという血縁の事実が浮き彫りになります。かつて激しく対立し二人を死に追いやった両家は、図らずも親戚関係を結んでおり、ディーンとパームの再会は両家の過去のトラウマと罪を浄化するための必然的な巡り合わせだったのです。