「障害年金と厚生年金は一緒にもらえるのか」という問いに対する正確な法的回答は、「原則は併給できないが、65歳以降は特定の組み合わせに限り一緒にもらえる」となります。日本の年金制度の根幹には、国民年金法第20条等に規定された一人一年金の原則が存在します。公的年金は「障害」「老齢」「遺族」という3つの保険事故に対して生活保障を行うものであり、同一人に複数の年金給付事由が生じた場合でも、基本的にはいずれか1つの年金を選択して受給することが義務付けられてきました。
この障害年金の併給調整の理由は、限られた公的財源の中で重複給付を避け、特定の受給者への過度な保障の集中を防ぐ社会防衛的な側面にあります。そのため、65歳未満の段階(特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢など)では、障害年金と老齢年金のいずれか高い方を選択しなければならず、両方を同時に受給することは法的に一切認められていません。
ところが、平成16年(2004年)の法改正(平成18年4月施行)によって、一人一年金の原則の例外が創設されました。現役時代に保険料を納めて厚生年金に加入してきた実績を老後の生活給付に適切に反映させる目的から、65歳以降に限って「障害基礎年金」と「老齢厚生年金」の併給が解禁されたのです。この歴史的転換により、障害を抱えながら働き続けて厚生年金保険料を負担してきた労働者が、自身の拠出に見合った老齢厚生年金を障害基礎年金に上乗せして受け取れる公平な構造が確立されました。