結論から言うと、「蚊に食われる」は方言ではなく、共通語(標準語)として辞書にも広く認められている表現です。三省堂国語辞典や広辞苑などの主要な国語辞典を引いても、「虫に食われる(=刺される)」という意味合いは標準的な用例として記載されています。
それにもかかわらず、西日本出身者の前で「蚊に食われた」と口にすると「蚊は人を食べないでしょ」と笑い話になるケースが少なくありません。このすれ違いが起きる最大の原因は、関東を中心とする東日本で「食われる」の使用率が約6割〜7割を超える一方で、関西をはじめとする西日本では「噛まれる」が日常語として深く定着している地域差にあります。
言葉としては全国どこでも通じる標準語でありながら、実際の日常会話で自然に使われるかどうかという「肌感覚のシェア」において、事実上の方言のような偏りを生み出しています。