映像化において黒死牟に命を吹き込む声優・置鮎龍太郎の名演も見逃せない。上弦の鬼が集結する緊迫した場面で見せた、低く響く威厳あるバリトンボイスは、数百年生き抜いた武人の重みと、内に秘めた底知れぬ冷酷さを完璧に表現していた。
大声を張り上げることなく、静謐な語り口の中に滲む威圧感。置鮎のアプローチによって、黒死牟は単なる狂気じみた怪物ではなく、礼節と格式を重んじながらも根底で人間性を喪失した悲劇の剣豪としての輪郭を一層際立たせている。今後の激戦シーンにおいて、その声がどのような緊迫感を劇場にもたらすのか期待が集まる。