ビジネスメールや改まった手紙において、和風月名を用いた時候の挨拶は重宝されます。しかし、近年の地球温暖化に伴う残暑の長期化により、「文面の季節感と実際の気温が乖離して不自然に感じられる」というトラブルが現場で増えています。
大手ビジネスマナー研修機関の調査データでも、9月上旬に「秋涼の候」や「長雨が続く季節」といった定型句を送った結果、連日35度の猛暑日の中で相手に違和感を与えてしまったという事例が報告されています。
「長月の候」を使用できる時期
「長月の候(ながつきのこう)」は、新暦の9月1日から9月30日までの1か月間全般で使用できます。「長月のみぎり」や「長月の折」と言い換えても同様です。9月全般で通用するため汎用性が高い一方、上旬・中旬・下旬の気候に応じた言葉選びを組み合わせることがプロの文章術です。
時期別の時候の挨拶と例文
【9月上旬(9月1日〜9月10日頃:残暑が厳しい時期)】
漢語調:「長月の候」「初秋の候」「新秋の候」「新涼の候」
和語調:「朝夕はかすかに秋の気配が感じられるころとなりました」
例文:「拝啓 長月の候、貴社におかれましてはますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。」
【9月中旬(9月11日〜9月20日頃:秋の気配が漂い始める時期)】
漢語調:「白露の候」「秋涼の候」「清涼の候」
和語調:「空の青さにもどこか秋の気配が漂う季節となりました」
例文:「拝啓 秋涼の候、皆様におかれましては一段とご清祥のことと拝察いたします。」
【9月下旬(9月21日〜9月30日頃:秋分を過ぎ夜が長くなる時期)】
漢語調:「秋分の候」「秋冷の候」「夜長の候」
和語調:「日増しに秋も深まり、灯火親しむ好季節を迎えております」
例文:「拝啓 秋冷の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」
【9月の結びの挨拶】
「季節の変わり目、くれぐれもご自愛専一にお過ごしください。」
「秋晴れのように実り豊かな日々が続きますよう、心よりお祈り申し上げます。」