動物園で暮らす生き物が病気や老衰で息を引き取った際、最初に行われるのは決して焼却処理ではない。何よりも優先されるのは、獣医師チームによる徹底的な病理解剖だ。なぜ命を落としたのか、他の個体へ波及する感染症の危険性はないのか。綿密な死因調査を経て初めて、遺体は静かに焼却へと回される。園内における極めて高度な衛生管理体制は、この一連の工程によって支えられている。
大型哺乳類から小鳥に至るまで、解剖後の処理を外部に頼らず自園の敷地内で迅速に行える体制は、病原菌の外部漏洩や園外からの新たなリスク侵入を防ぐ強固な防波堤だ。生き生きとした生命の姿を提示する場所だからこそ、その裏側にある死の管理に一切の妥協は許されない。現場の緊張感は、開園時間の賑やかさとはまた異なる厳粛さに満ちている。