アニメ『終末のハーレム』が辿った道のりの中で、最も視聴者を騒然とさせたのが2021年10月8日の第1話放送直後に下された放送延期決断です。TOKYO MX等で記念すべき第1話「ノーマル・ワールド」が放映されたわずか数時間後、製作委員会から「表現精査のため、第2話以降の放送および配信を2022年1月クールへ延期する」という異例の公式リリースが発表されました。
当時のアニメ制作デスクや放送局関係者の証言を総合すると、この延期の背景には単なるスケジュール逼迫(万策尽きた状態)にとどまらない、地上波放送コードと過激描写のせめぎ合いが存在していました。本作の根幹にあるのは、男性のみを死に至らしめるMKウィルス(Man-Killer Virus)によって地球上の男性の99.9%が死滅し、冷凍睡眠から目覚めた数少ない男性たちが人類存続のために「メイティング(子作り)」を義務付けられるというハードな設定です。原作の持ち味である直接的な官能描写を、一般の地上波電波に乗せるための考査基準が各局ごとに異なり、直前まで調整が難航したことが決定打となりました。
実際、第1話の地上波放送では、画面の過半数を巨大な黒い円や帯が覆い隠す通称「黒カーテン」や、ちびキャラアイコンによる不自然な遮蔽が多発。視聴者からは「何が起きているのか画面が真っ暗で全く見えない」「まるでギャグアニメのようだ」という猛烈な批判と困惑の声がSNS上に殺到しました。製作委員会はクオリティの維持と各局の考査ラインの再定義、さらには有料チャンネル「AT-X」向けに用意された規制緩和バージョンの納品スケジュールを根本から立て直すため、実質約3ヶ月間のインターバルを設ける決断を余儀なくされたのです。