日本のメディア空間において長年見落とされがちだったのが、「性表現(キャラクター)」と「性的指向(誰を好きになるか)」の混同です。
テレビ番組で親しまれてきた「おネエタレント」という呼称は、誇張されたオネエ言葉や毒舌トーク、独特の所作などをパッケージ化した芸能上のジャンルとして機能してきました。しかし、このカテゴリーの中には、トランスジェンダー女性、女装パフォーマー(ドラァグクイーン)、同性愛者の男性、あるいは純粋なビジネスキャラクターとして演じている人物までが混在しています。
男性同性愛者(ゲイ)の多くは、外見や言葉遣いにおいて異性愛者の男性と何ら変わらない生活を送っています。テレビが作り上げた「オネエ=ゲイ」というステレオタイプは、当事者が学校や職場で本来の姿を打ち明ける際のハードルとなってきた側面も否めません。エンタメの記号化と当事者の尊厳を峻別する視点が、今日の視聴者・読者には不可欠となっています。