時代が明治に移っても、この紋様を掲げた歴史の巨人が存在します。日露戦争で旅順攻囲戦を指揮し、明治天皇の崩御に際して殉死した軍人、乃木希典(のぎ・まれすけ)です。
長府藩士(現在の山口県下関市)の家に生まれた乃木家ですが、その出自を遡ると、実は近江源氏・佐々木氏の有力支族である「野木氏」に辿り着きます。鎌倉時代、佐々木高綱の四男・野木光綱が下野国野木に領地を得たことから始まり、数百年を経て長州の地に根付いた血筋でした。
乃木希典の墓碑や遺品、乃木神社に残る家紋には、誇り高き「隅立て四つ目」が刻まれています。質素剛健を貫き、武士道精神の権化と称された希典の胸中には、祖先である近江源氏の武勇と精神が脈々と受け継がれていました。