臨床の場やSNSの当事者コミュニティでは、嘘をついてしまう側とそれを受けるパートナーの双方が深い疲弊を訴えています。
ある30代のADHD当事者は、自著の手記の中で当時の心境をこう告白しています。
「上司に問い詰められた瞬間、頭が真っ白になり、防衛反応として口が勝手に『指示は受けていません』と動いていた。嘘をついた直後から心臓が激しく波打ち、強烈な罪悪感と自己嫌悪で消えてしまいたくなった」
一方で、パートナー側の精神的負担も見過ごせません。日常的な家事の分担や金銭管理において「買った」「払った」と言いながら実際には放置されていたり、話すたびに細かい事実関係が二転三転したりすることで、配偶者は強いストレスに晒されます。いわゆる「カサンドラ症候群」(発達障害のパートナーとのコミュニケーション不全によって生じる心身の不調)へと発展するケースの多くに、この「つじつまが合わない小さな嘘の積み重ねによる信頼崩壊」が存在しています。