『眠り姫』というタイトルから、多くの人はロマンチックな童話の世界を想像するかもしれない。だが、この楽曲の真の着想源は、Fukaseがかつて経験した病室での壮絶な実話にある。若き日の彼が病魔や精神的な苦悩と闘い、閉ざされた空間で生死の境を彷徨っていた時期、その傍らには常にSaoriらの存在があった。
「もしもこのまま、大切な人が目を覚まさなかったらどうしよう」——病室のベッドで眠る人物を見つめながらFukaseが抱いた猛烈な恐怖と、いつか訪れる確実な「別れ」への葛藤。それこそが歌詞の核心だ。トイズファクトリーから2012年にリリースされ、名盤『ENTERTAINMENT』にも収録されたこの楽曲は、単なるラブソングの枠を超え、死の気配におびえながらも「今ここにある命」を愛おしむ絶望と救済のドラマとして作られたのである。