ネット上の掲示板やSNSで国立競技場の座席を調べると、賛否両論の口コミが目立ちます。特に球技専用スタジアム(埼玉スタジアム2002やパナソニックスタジアム吹田など)に慣れ親しんだサポーターからは「ピッチまでが遠すぎる」「スタンドの傾斜が緩くて前の人の頭で見えない」といった辛口なレビューが投稿されるケースが後を絶ちません。
この不満の根本的な原因は、国立競技場が「全天候型陸上トラックを内包する多目的スタジアム」として設計されている構造的宿命にあります。ピッチ外周にアンツーカー(赤褐色のトラック走路)が存在するため、最前列であってもピッチサイドのラインまで物理的な距離が生じます。特にゴール裏1層の最前列付近では、反対側のゴール前で起きているプレーを肉眼で詳細に捉えるのは困難を極めます。
さらに「雨に濡れる」という噂について、公式発表資料では「観客席全体を覆う大屋根」と説明されているものの、すり鉢状の中央開口部から吹き込む雨風までは防ぎきれません。風速3メートル以上の雨天時には、スタンドのかなり深い位置まで雨粒が舞い込む現実があります。「屋根があるから傘もカッパも不要」と思い込んで軽装で来場した観客が、現場で手痛い洗礼を受ける事態が頻発しているのです。