現在、経営幹部を最も悩ませているのがNHK若手退職の急増です。入局からわずか数年、20代半ばから30代前半の将来を嘱望された記者、ディレクター、技術系職員が次々と退職届を提出しています。
この背景には、若年層における「市場価値」に対するシビアな意識変化が存在します。NHKの独特な業務プロセスや局内政治に特化したスキルだけでは、激変するデジタル社会で通用しなくなるのではないかという危機感です。終身雇用を前提としないデジタルネイティブ世代にとって、「NHKという看板」そのものの魅力はかつてほど絶対的なものではなくなっています。
従来の「地方局で下積みを経て東京へ」という育成モデルも、即戦力としてスピーディーな成長を望む若手の価値観と乖離しつつあります。NHK離職率の実態は公には詳細が開示されていないものの、現場の肌感覚として若手の流出スピードは過去にない水準に達しており、組織の持続可能性を揺るがす深刻な課題となっています。