散歩中の大型犬を見かけて「巨大なハスキーがいる」と誤認されるケースの多くは、実はアラスカン・マラミュートです。両者は同じ極北のソリ牽引犬ですが、生み出された役割と肉体構造が明確に異なります。
最もわかりやすい見分け方は「瞳の色」と「尾の形状」です。ハスキーのアイコンでもある透明感のあるブルーアイや左右で色が異なるバイアイは、アラスカン・マラミュートの国際基準(JKC・AKC規格)では失格事項とされ、マラミュートは必ず温かみのあるブラウン系の瞳を持っています。また、ハスキーの尾はキツネのように垂れ下がるか緩やかなカーブを描くのに対し、マラミュートの尾は豊かな飾り毛を揺らしながら背中へしっかりと巻き上がります。
性格面での違いも見逃せません。シベリアン・ハスキーは集団で長距離を軽快に駆け抜けるために改良されたため、陽気で社交的、見知らぬ人や犬にも尾を振る「番犬にならない犬」として有名です。これに対し、重い荷物を力強く運搬してきたマラミュートは、飼い主家族に対して極めて深い忠誠心と愛情を示す一方、同性の他犬に対しては強い自己主張や闘争心を見せる場面があります。ハスキーの気質が「永遠の無邪気な少年」だとすれば、マラミュートは「寡黙で頑強な重鎮」と例えられるほどの温度差が存在します。
なお、純白の被毛と愛くるしい笑顔(サモエド・スマイル)で人気のサモエドもハスキーと同じスピッツ族の近縁種です。サモエドはハスキーのような鋭い警戒色を持たず、全身が柔らかなホワイト〜ビスケット色に覆われており、より家庭犬としての親和性に特化した性質を備えています。