頬骨の下を押すと痛いのはなぜ?片側の違和感と危険な病気の見極め方

頬骨の下を押すと痛いのはなぜ?片側の違和感と危険な病気の見極め方

頬骨の下を押すと痛いのはなぜ?片側の違和感と危険な病気の見極め方の真相について、専門知識を取りまとめてご紹介します。

患者が訴える症状の中で、臨床上とりわけ警戒を要するのが「右側だけが痛い」「左側だけに強い違和感がある」という片側性の症状です。筋肉のコリや疲労であれば、生活習慣や骨格のゆがみによって左右差が出ることはあるものの、通常は両側の咬筋にある程度の緊張が見られます。これに対して、明らかな片側だけの強い圧痛が存在する場合、局所的な感染や病変を疑うのが医学の定石です。

その筆頭が、虫歯や歯周病を起点とする「歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)」です。上あごの奥歯(上顎第一大臼歯・第二大臼歯)の根の先は、解剖学的に上顎洞の底と極めて近接しており、人によっては歯根が上顎洞内に突き出ていることさえあります。過去に虫歯治療を終えて神経を抜いた歯であっても、根の先端に細菌が再感染して「根尖病巣(こんせんびょうそう)」を形成すると、骨の薄い障壁を突き破って上顎洞粘膜へと炎症が波及します。

この病態に陥ると、以下のような特徴的な経過をたどります。

  • 右側の上顎洞炎であれば「右側の頬骨下を押すと強く痛む」「右の鼻の穴からだけ黄色く臭う鼻水が出る」。
  • 頭を前傾させたり、階段を降りる際にかかとの振動が響いたりして、頬骨から頭部にかけて嫌な痛みが抜ける。
  • 一般的な風邪薬や消炎鎮痛剤を服用しても一時的な緩和にとどまり、数週間から数か月にわたって症状がくすぶり続ける。

日本歯科医学会の疫学調査によれば、慢性副鼻腔炎と診断された症例のうち、約10〜15%が歯に原因がある歯性上顎洞炎であることが判明しています。耳鼻咽喉科で上顎洞炎の治療(抗生剤投与やネブライザー治療)を受けても一向に痛みが引かない場合、歯科でパノラマX線や歯科用CTを撮影し、上顎洞底と奥歯の根尖部を三次元的に精査しなければ根本解決には至りません。

佐々木 一輝
著者

佐々木 一輝

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。