顔が覚えられない苦しみは、社交界の頂点に立つセレブリティにとっても深刻な孤立の原因となってきた。ハリウッドを代表する名優ブラッド・ピットは、過去の米誌インタビューにおいて自身が相貌失認であると確信している旨を告白し、大きな話題を呼んだ。
彼はメディアの取材に対し、「パーティーで出会った人に『以前どこかでお会いしましたよね?』と聞くと、相手は侮辱されたと感じてしまう。人々から傲慢で冷淡な人間だと思われ、やがて家に引きこもるようになった」と胸の内を明かしている。日本でも『あしたのジョー』で知られる漫画家のちばてつや氏が、自身のブログや対談で長年人の顔が覚えられない悩みを赤裸々に綴り、多くの読者に知られるきっかけとなった。
SNSやネット掲示板を調査すると、「自分も毎日のように同じ失敗をしては死にたい気持ちになっていた」「有名人が声を上げてくれたことで、甘えや性格の問題ではないと分かって救われた」という当事者の切実な書き込みが無数に見受けられる。かつては「失礼な性格」「ビジネスマン失格」と片付けられていた現象が、脳の認知多様性の問題として認知され始めている。