ソーシャルメディアや各種掲示板の書き込みをリサーチすると、「ウイスキーを買って帰って一番テンションが上がっている瞬間に、テープがちぎれて一気に現実に引き戻された」「爪の間に固い蝋が挟まって激痛が走った」といったリアルな悲鳴が毎日のように投稿されています。中には「ちぎれた後どうしていいか分からず、コルク抜きを突き刺してボトル口をボロボロにしてしまった」という痛ましい失敗談も散見されます。
では、日常的に何本ものボトルを開栓しているオーセンティックバーのバーテンダーたちは、どのように対処しているのでしょうか。都内の老舗バーに勤務するシニアバーテンダーに現場のリアルな所作を伺うと、プロならではの緻密な工夫が見えてきました。
「お客様の前でメーカーズマークを開ける際、つまみをそのまま引っ張ることはまずありません。手作業によるディッピングのため、ボトルによっては蝋が非常に分厚くコーティングされているものがあります。そのため、あらかじめソムリエナイフの刃先でキャップ下部にガイドラインとなる浅い筋を入れておくのが現場の鉄則です。また、開栓して注ぐ直前には、ボトルの注ぎ口周囲を清潔なバークロスで必ずひと拭きします。目に見えない微細な蝋の削り粉を完全に除去してから最初の一杯を注ぐのが、お酒への敬意でありプロのスタンダードです。」