手術を受けない保存療法を選択する場合や、術後の再発防止期において極めて重要になるのが、装具による物理的サポートと運動療法です。
市販の膝用サポーターであればどれでも良いわけではありません。単なる保温用サポーターでは皿の外側への横ブレを防ぐことは不可能です。膝蓋骨サポーターおすすめの条件は、皿の周りをくり抜いた形状(オープンパテラ型)で、皿の外側に半月状のパッド(C型パッド)が配置され、皿が外側にズレないよう内側へ押し戻す構造を持つ専用品(例:アルケア社「ニーケアー・PCL/パテラ」やバウアーファインド社「ゲニュTrain P3」など)を選ぶ必要があります。左右のステー(支柱)がしっかりした医療用ブレースが最も安定感を発揮します。
並行して行わなければならないのが、膝の皿リハビリ筋トレです。膝蓋骨を内側から支える最大の筋肉は、太ももの内側にある「内側広筋(ないそくこうきん:VMO)」です。この筋肉が衰えると、皿は外側へ引っ張られやすくなります。
日常生活で手軽に実践できる基本メニューとして推奨されるのが「ストレート・レッグ・レイズ(仰臥位下肢挙上)」です。仰向けに寝て、片膝を立てた状態で、もう片方の脚を真っ直ぐ伸ばし、つま先をやや外側に向けたまま床から15〜20cmほどゆっくり持ち上げて5秒静止します。これを左右10〜15回ずつ行います。つま先を外へ向けることで内側広筋に集中的な刺激を入れることが可能です。自己流の深いスクワットは皿に関節圧を過剰にかけ、軟骨損傷を悪化させる恐れがあるため、理学療法士の指導を受けながら安全な角度を保つことが鉄則です。