雑誌やネット記事で頻繁に見かける「肉球占い」。ピンクの肉球はおっとり甘えん坊、黒は用心深く野性的、まだらはマイペースといった説が広く流通していますが、実際のところ科学的な裏付けはあるのでしょうか。獣医遺伝学および動物行動学の観点から検証します。
結論から言えば、肉球の色そのものが脳の性格形成部位を直接コントロールしているわけではありません。肉球の色は、被毛の色を決定づけるメラニン色素の生成量によって物理的に決定されます。白猫や白勝ちのブチ猫はメラノサイトが少なく肉球が鮮やかなピンク色になり、黒猫やキジトラなど色素の濃い猫はメラニンが密集して黒や濃いあずき色になります。
国内外の大学研究チームが実施した大規模な被毛色彩と行動特性の追跡調査においても、「被毛遺伝子とドーパミン受容体等の連動によるわずかな気質差」は示唆されているものの、肉球単体で性格を断定することはできません。愛猫の性格は、生後2〜9週齢の「社会化期」にどのような環境で過ごしたか、飼い主との関係性によって8割以上が形作られます。肉球占いはコミュニケーションの余興として楽しみつつ、目の前の愛猫が持つ独自のパーソナリティを尊重することが大切です。