人工膝関節置換術のリハビリテーションは、深部静脈血栓症の予防や関節の拘縮を防ぐため、手術翌日または翌々日という極めて早い段階からスタートします。理学療法士の指導のもと、まずはベッドサイドでの足首の運動や膝の曲げ伸ばし、立ち上がり訓練から開始し、歩行器を用いた歩行訓練へとステップアップします。
一般的な入院期間は1〜3週間程度が標準的です。退院の基準としては、平地での独歩またはT字杖での安定した歩行ができること、そして階段の上り下りが自力で安全に行えることが一つの目安となります。階段動作は膝に体重の数倍の負荷がかかるため、上るときは「良い方の足から」、下りるときは「手術した方の足から」踏み出すといった代償動作の習得がリハビリで徹底されます。
退院後もリハビリ期間は終わりません。関節の可動域を広げ、衰えた大腿四頭筋(太もも前の筋肉)を取り戻すため、術後3〜6ヶ月間は通院リハビリや自宅での自主トレーニングを継続します。術後半年から1年が経過する頃には、手術部位の組織が完全に成熟し、本来の安定した歩行能力を実感できるようになります。