「便秘薬を毎日飲むのは体に毒ではないか」「産後に自力で出せなくなったらどうしよう」という不安は、多くの妊婦が抱える心理的ハードルです。しかし、妊娠中に毎日飲み続けた経緯と産婦人科医の見解を丹念に取材・検証すると、現場の医師たちの見解は驚くほど一致しています。
都内の周産期母子医療センターで多数の分べんを扱う産婦人科専門医は、取材に対して次のように指摘します。
「妊婦さんが『薬に頼りたくない』と我慢して強くいきむことのほうが、臨床上はるかに危険です。過度な腹圧は切迫早産や前期破水を誘発する引き金になり得ますし、酷い内痔核が悪化して産後の生活に深刻な支障をきたすケースも多いためです。酸化マグネシウムは腸の神経を無理に動かす刺激性下剤ではないため、腸が薬に慣れて動かなくなる『耐性』や『身体的依存性(習慣性)』は生じません。毎日一定量を飲んで水分を引き込み、スルリと出る状態を維持することは、母体と胎児を守る賢明な体調管理です」
実際に、妊娠初期の4週から臨月、さらには会陰切開の傷が痛む産後数週間にわたって毎日マグミット錠を服用し続けた母親たちの手記を追跡しても、出産後にホルモンバランスが戻り、会陰の傷が癒えるとともに薬をスムーズに漸減・卒業できている実情が明確に示されています。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
日本社会には根強い「妊娠中は薬を一切口にすべきではない」「自然な排便こそが善である」という過度な母性神話や自然信仰が存在します。しかし、医学的な見地から見た場合、我慢によるリスクを冒してまで薬を避ける姿勢は合理的ではありません。以下の判断基準を参考に、自身の状態を客観的に見極めてください。
【酸化マグネシウムの服用が強く推奨される人】
- 便が硬く、ウサギの糞のようなコロコロ便で排便時に強い痛みや出血がある人
- 排便のために便座で何分も強くいきんでしまい、お腹が張ってしまう人
- 切迫流産・切迫早産の兆候を指摘されており、腹圧をかけることが厳禁とされている人
- 貧血の治療で鉄剤を内服し始めてから、急激に便秘が悪化した人
【服用に慎重になるべき・医師への事前相談が必須な人】
- もともと腎機能障害や腎臓病の既往歴を指摘されている人
- 激しい腹痛や嘔吐があり、腸閉塞(イレウス)などの器質的疾患が疑われる人
- 水分摂取が極端に制限されている心疾患や腎疾患を抱えている人
- 自己判断で市販の便秘薬を多種類併用しようとしている人