市川眞秀のアイデンティティを語る上で欠かせないのが、父ローラン・グナシアの存在だ。フランス出身のクリエイターである父から受け継いだ視覚的なセンスや自由な発想は、彼の型にとらわれない演技アプローチにも確実に影を落としている。伝統的なお稽古に励む一方で、海外の現代アートや音楽にも親しむ環境が、彼の表現力に奥行きを与えているのだ。
「歌舞伎は格好いい」と素直に語るその感性は、外からの視点と内からの情熱が融合した彼ならではのもの。日仏双方のカルチャーを日常的に体感しているからこそ、古典作品のストーリーや登場人物の心理を独自の解釈で捉え、観客へと提示することができる。