札幌市中央区、赤れんが庁舎(北海道庁旧本庁舎)の南西側に佇む北菓楼札幌本館は、かつて北海道初の本格的図書館「北海道庁立図書館」として建てられ、のちに北海道立文書館別館として親しまれた近代建築です。老朽化に伴う解体の危機を乗り越え、2016年春に北菓楼の旗艦店として生まれ変わりました。
この大規模リノベーションを手掛けたのが、建築界の最高峰プリツカー賞受賞者である建築家・安藤忠雄氏です。南面と西面の赤レンガ外壁や玄関ホールの白大理石階段など、大正時代の歴史的意匠を巧みに保存しながら、内部には安藤建築の代名詞である打ち放しコンクリートと、天窓から自然光が降り注ぐ吹き抜けを大胆に創出しました。
1階のショップフロアから見上げる2階カフェの壁面には、図書館の記憶を継承するように床から天井まで約8メートルの巨大書架がそびえ立ち、約6,000冊の蔵書が整然と並びます。「歴史を保存するだけでなく、過去の記憶の上に新しい命を吹き込む」という安藤氏の建築思想が、訪れる人々に圧倒的な知的高揚感と居心地の良さを提供しています。