「スマホがない時代」はどう生きてた?昭和・平成の待ち合わせと幸福の真相

「スマホがない時代」はどう生きてた?昭和・平成の待ち合わせと幸福の真相

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待ち合わせの約束は、前日までに交わす「場所と日時の厳密な固定」がすべてでした。「明日の13時に渋谷駅ハチ公前の交番側」「新宿駅東口のアルタ前」といった具体的な指定をあらかじめ決め、当日はその場所へ向かう以外の選択肢がありませんでした。遅延やトラブルが発生しても、移動中にメッセージを送る手段は存在しなかったのです。

そこで大活躍したのが、主要駅の改札付近に設置されていた「駅の伝言板」でした。緑色や黒色の黒板とチョークが置かれ、「〇〇へ。15分遅れます。先にお店入ってて。△△より 13:10」といった短いメッセージを書き残す文化が定着していました。後から到着した相手がその文字を見つけ、無事に合流を果たすという光景は、昭和から平成初期の日常的なワンシーンでした。

相手が来ない場合、頼みの綱は公衆電話でした。10円玉や100円玉、あるいはテレホンカードを投入し、相手の実家や下宿先の固定電話にかけます。相手がすでに家を出ていれば打つ手はなく、喫茶店に入ってひたすら待つか、約束の場所で1時間以上立ち尽くすことも珍しくありませんでした。「来ると信じて待つ」という行為そのものが、人と人との信頼関係を試す儀式のような重みを持っていたのです。

山下 哲也
著者

山下 哲也

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。