「野獣先輩の叫び」がアンダーグラウンドの枠を飛び越え、巨大なネットミームへと変貌を遂げた背景には、2000年代後半から2010年代にかけてニコニコ動画を中心に隆盛を極めた「音MADカルチャー」の存在があります。
動画クリエイターたちの間では、動画の特定シーンを透過処理した「BB素材(ブルーバック・グリーンバック素材)」と、セリフを音階に合わせて切り刻む音声編集技術が急速に発達しました。その過程で、この叫び声は以下のような編集上の圧倒的な利便性を発揮することになります。
- アタック感の強さ:キックドラムやシンバルのような「リズム隊のアクセント」として即座に機能する音圧。
- ピッチ変更への耐性:ボーカルチョップとして音程を上下させてもキャラクター性が崩れにくい明瞭なフォルマント。
- 感情表現の汎用性:驚愕、歓喜、絶望など、あらゆる文脈のオチ(ブレイク)に差し込める感情の極値。
映像編集ソフトウェアの普及とともに、誰でも手軽に扱える「フリー効果音」のような感覚で二次創作へ組み込まれていきました。元ネタの文脈を知らない新規ユーザー層に対しても、「勢いを生み出す定番の音ネタ」として自然に受容されていった経緯があります。