企業が発信する公表情報だけでは見えない給料のリアルを追う上で、民間サービスのビッグデータは極めて貴重な示唆を与える。ハイクラス転職を牽引するビズリーチが保有する求人スカウトデータや、現職・退職社員の生の声を収集するOpenWorkの定量レポートは、業界ごとの収益性と給与水準の密接な連動性を浮き彫りにしている。
これらのデータが示す「業界の裏事情」は明快だ。同じ職種・同じ労働時間であっても、属する業界の利益率や市場構造によって年収の天井は最初から決まっている。例えば、SaaS型ITビジネス、総合商社、専門コンサルティング領域では30代前半で年収1000万円を超過する割合が高いのに対し、構造的な低利益率に喘ぐ伝統的サービス業や流通現場では、どれほど個人の努力を重ねても年収500万円の壁を破るのが困難である。OpenWork上の生々しい社員の告白は、企業のネームバリューと実際の給与額面が必ずしも一致しない現実に光を当てている。