秋葉原無差別殺傷事件が起きた直後から、加藤家に対する社会的制裁は常軌を逸したレベルで加速しました。実家には昼夜を問わず嫌がらせの電話や脅迫状が殺到し、報道陣が包囲。父親は勤務先を追われ、母親は精神的に追い詰められて入院を余儀なくされました。
弟自身も当時勤務していた会社にマスコミが押し寄せ、同僚や取引先に多大な迷惑がかかる事態となったため、自ら退職を選ばざるを得ませんでした。その後、名前や経歴を隠しながらアルバイトや派遣の仕事を転々としますが、素性が発覚するたびに職場を去るという極限状態が6年以上にわたって継続しました。
社会的に「存在を否定され続ける日々」の中で、彼女との出会いは弟が人間らしさを取り戻す唯一の契機でした。それだけに、結婚という将来設計が「加害者家族であるという事実」のみによって完全に打ち砕かれた衝撃は、彼の精神を根底から破壊するのに十分すぎる打撃となったのです。