ふたりの共演作として今なお語り継がれるのが、2012年に公開された映画『ヒミズ』だ。東日本大震災直後の空気感を背景に、絶望の淵でもがく若者たちの姿を描いた本作で、二階堂ふみはベネチア国際映画祭のマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を日本人として初めて受賞。一躍、次世代を担う若手実力派として世界にその名を知らしめた。
この作品で新井浩文が演じたのは、主人公たちを取り巻く社会の歪みを体現するかのような過激で不穏なキャラクターだった。極限状態の撮影現場において、新井が見せた圧倒的なリアリティと迫真の演技は、二階堂の感情を限界まで引き出す触媒となった。スクリーン上で火花を散らしたふたりの演技合戦は、観客に強烈なトラウマと不可逆の感動を残した。