そもそも、ロシアはなぜこれほど広大な領土を獲得するに至ったのでしょうか。その起源は中世のモスクワ大公国にまで遡ります。
16世紀、イヴァン4世(雷帝)の時代から、コサックの首領イェルマークらによるウラル山脈を越えた東方遠征が本格化しました。当時のロシアを突き動かしたのは、ヨーロッパで「黒い黄金」と称され莫大な富を生んだ黒テンなどの高級毛皮交易でした。抵抗勢力が少なかったタイガ地帯を一気に東進し、わずか半世紀余りでオホーツク海や太平洋岸へと到達。17世紀半ばには早くもユーラシア大陸を横断する版図を築き上げました。
さらに地政学的観点から見ると、ロシアを囲む広大な平原には山脈や大海といった「天然の防壁」が存在しませんでした。西側からのナポレオン軍やナチス・ドイツ軍の侵攻を撃退した歴史が示すように、ロシアにとって広大な国土は「防衛のための戦略的縦深(敵を引き込んで補給線を断ち、寒冷な気候で消耗させる空間)」として国家防衛の根幹を担ってきた経緯があります。