『20世紀少年』最大の謎である「ともだち」の正体。結論から述べると、原作漫画における「ともだち」は1人ではなく2人存在していました。物語の前半から中盤を支配していた初代と、世界大統領となって人類滅亡計画を推し進めた2代目です。
初代「ともだち」の正体は、ケンヂたちの同級生であるフクベエ(服部哲平)でした。常に冷静沈着で理知的な少年を演じていたフクベエですが、内面は歪んだ承認欲求の塊でした。「みんなの中心になりたい」「ケンヂのように輪の真ん中に立ちたい」と願いながらも輪に入れず、サダキヨ(佐田清志)を従えて小学生時代から数々の自作自演や奇術を繰り返します。大人になってから新興宗教を立ち上げ、「血の大みそか」を主導して自らを救世主に仕立て上げたのが彼でした。しかし、フクベエは物語中盤、理科室で友理連の山根に銃撃され、呆気なく命を落とします。
その後、死んだはずの「ともだち」が復活を遂げます。この2代目こそが、作中最大の黒幕であるカツマタ君(勝俣忠信)でした。フクベエの死後、プラスチックの面を被って世界大統領に君臨したカツマタ君は、フクベエ以上の冷酷さで地球全体をウイルスで滅ぼそうと画策しました。
読者の多くが「カツマタ君とは誰なのか?」と混乱したのは、彼が本編の回想シーンにほとんど姿を現さず、噂話のレベルでしか語られなかったためです。浦沢直樹は、あえて「顔も名前も誰も覚えていないクラスメイト」を真の黒幕に据えることで、少年時代に無意識に行われていた仲間外れや忘却という残酷さを浮き彫りにしました。