木村拓哉の視聴率伝説を語る上で欠かせないのが、『HERO』と『ビューティフルライフ』という2つの怪物番組です。この2作が叩き出した記録は、単なる人気の証明にとどまらず、当時の社会状況と密接に結びついていました。
2001年1月期に放送された『HERO』は、放送直前の2000年末に工藤静香との電撃結婚を発表した直後の主演作でした。ワイドショーや週刊誌が連日過熱報道を繰り広げ、芸能界の一部からは「アイドルとしての人気は急落するのではないか」と冷ややかな視線も向けられていた逆風のタイミングでした。
ところが蓋を開けてみれば、第1話で33.4%を記録。その後も一切数字を落とすことなく、第8話と最終話では36.8%をマークしました。全11回の放送すべてで30%を超えた連続ドラマは、日本の民放ドラマ史上『HERO』ただ1作のみです。型破りな検事・久利生公平のダウンジャケットや通販グッズは飛ぶように売れ、バッシングを一瞬で吹き飛ばす圧倒的な存在感を見せつけました。
一方、木村拓哉の全キャリアを通じて「単回最高視聴率」を記録したのが、2000年3月26日に放送された『ビューティフルライフ』の最終回です。その数値は実に41.3%に達しました。北川悦吏子脚本による繊細なラブストーリーは、柊二と車椅子の杏子(常盤貴子)の純粋な愛の行方に日本中を釘付けにしました。
当時の制作スタッフの手記や特番インタビューによると、最終回の撮影現場は異様な緊張感に包まれていたと証言されています。木村自身も後に「あの作品の終盤は、役と自分自身の境界線が曖昧になるほどの精神的負荷があった」と回想しています。視聴者がブラウン管の前で固唾をのんで見守った結果としての「41.3%」は、平成テレビカルチャーのひとつの頂点として歴史に刻まれています。