この象徴的なフレーズが生まれた現場は、師走の新橋駅前でした。マイクを向けられた男性は、占い師やタレントとしても活動する橋本鉄平氏(活動名:占い師の鉄平。)。当時30代半ばだった同氏が、カメラを正面に見据え、手振りを交えながら語った内容は実に明快でした。
「お金いっぱい欲しいんだったらさ、年金あてにしちゃダメじゃない? 自己防衛。投資? あと...海外移住。日本脱出だよね。国なんかあてにしちゃだめよ。おぉん。あてにするから文句がでてくるわけでしょ」
独特のリズムと表情、歯に衣着せぬ言い回しから、放映直後からネット掲示板やSNS上で「自己防衛おじさん」と命名され、コラージュ画像やリミックス動画が爆発的に拡散。2018年春頃にはネット流行語として定着し、大手ゲームの公式プロモーション映像に起用されるなど、サブカルチャーのアイコンとして扱われてきました。
だが、放映から10年近くが経過した現在、ネット上の反応は「笑い」から「畏怖」へと完全に反転しています。「当時の自分は笑っていたが、今や言っていることが一字一句正しすぎて笑えない」「予言者レベルの洞察力だった」という書き込みが後を絶ちません。国家や行政のセーフティネットに対する過度な信頼が揺らぎ、生活防衛の責任が個人の肩に重くのしかかる2026年において、あの発言は時代の分水嶺を告げる鐘の音だったと位置づけられています。